AMP-MINI 製作記
NPO法人ラジオ少年 原 恒 夫
1 はじめに
コンパクトなアンプ製作に5極・3極複合管の6BM8が使用されています。6BM8シングルでは、約3Wの出力があり魅力的な真空管です。しかし価格が高くので教材用としては、向かないかもしれません。安価な球を探していましたら、出力は6BM8の半分以下の最大出力1.4Wと小さいのですが、6AB8があることがわかりました。6AB8はTV用の球のようですが、低周波増幅のデーターもあり、また、価格も1本1000円以下ということで、早速使ってみました。プレート電圧も低くて良く、また、ヒーターも6.3V 0.3Aと消費が少ないのもメリットです。
6AB8は、カソードが共通ということで使いにくい面もありますが、試作の結果、安定して使えることが分かりましたので、小型ステレオアンプを製作しました。当初、低周波発振に見回れましたが、カソードのバイパスコンデンサーを大きくする、入力抵抗を低くするなどで解決することが出来ました。
5極・3極複合管ということで、小型のアンプに仕上げることにして、電源トランス、10kΩのHiFi出力トランスを特注しました。また、竹集成材のサイドパネルもシャーシーに合わせて特注しました。
2 製作
アルミシャシーは、小型アンプとはいえ丈夫にするため1.5mm厚のアルミ板を使っています。小型にするため、電源トランスと出力トランス2個を密着させていますが、誘導ハムの発生はありませんでした。
シャーシーに部品を取り付けます。それぞれの部品を取り付ける際は、端子やリード線の方向に気をつけ取り付けめます。
アースは、入力のRCAピンの近くに卵ラグをつけシャシーに落とします。いわゆる一点アースを守ります。アース母線も黒のビニール被覆線でしっかり張ります。
本機は、音量調節用の50kΩボリュームを通して3極部のグリッドにバイアス電圧を与えていますので、50kΩのボリュームはアースしませんので注意が必要です。
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主役の6AB8 | シャシーとサイドパネル |
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主要部品を取り付けます | ヤーシー内は2枚のラグ板を立て配線します |
配線は、ラグ板を生かしながら進めます。複合管のため配線が結構混み合いますので、誤配線のないよう慎重に作業を進めます。
3 おわりに
誤配線を確認し、電源を入れます。各部の電圧を測定し、異常のないことを確かめます。
早速、CDプレイヤーをつなぎ試聴してみましょう。5極管の高域ののびたクリアーな音が出ています。
真空管が2本ということで、「簡単、初心者向き」と考えてはいけないと思います。真空管アンプの基礎的知識や半田付けの基礎的技術は、真空管の数に関係なく必要です。